「あなたのもとへ」
あなたのことが好き。
初めて出会った時から今もずっと。
あの頃はこの先も一緒だと思い込んでいた。
でもあなたはわたしではなく、自身の夢を選び、夢を叶えるため遠くへ行ってしまった。
ほんとは行ってほしくなかった。
わたしのことを好きにならなくてもいいから一緒にいてほしかった。
そんな気持ちを押し隠して笑顔で別れた。
あれから6年。
だんだんと記憶もおぼろげになって、あなたの顔も声も霞んでいくような気がする。
ついにはわたしがあなたを何て呼んでいたか思い出せなくなってしまった。
わたしにとってとても大切で幸せな記憶だったはずなのに。
ふとあなたのいる方角へ目を向ける。
ここからでは見えないけど、このずっと先で頑張っているんだって、そう思ったらわたしも頑張ろうと思えた。
つらいことや悲しいことがあった時はいつも心の中であなた宛に手紙を書いた。
この手紙があなたへ届かなくても、返事が来なくても。
また立ち上がる力をもらえた。
あなたへの手がかりは名前と学校だけ。
今年高校を卒業したら手がかりは名前だけになる。
6年間悩んできた。
もう一度だけでいいから。
私のことを覚えていなくてもいいから。
あなたに会いたい、会いに行きたい。
6年も経ってるからあなたは大きく成長して変わってしまっているかもしれないけど。
あなたに会ったら、大切にしたかった記憶も全部思い出せる気がするの。
6年前の私は無力だった。
でも成人した今はどこへだって行ける。
これがラストチャンス。
リュックに勇気を詰め込んで。
今、あなたのもとへ会いに行くよ。
1/15/2025, 2:13:04 PM