私の手が、足が、体が解けて浮上していく
あんなに苦しかったのに
逃げ出したくてたまらなかった筈なのに
あなたとの運命を誇らしく思いながら
私が解けて、あなたが散って
きっと今も躊躇うことなく、誰かの為に立ち上がる
友のような、そうでないような
全て剥がされたあなたの背をなぞる
ねえ、どうして私に呼ばれてしまったの
ちっぽけな灯火など、吹き消してしまえば良かったのに
そうすれば輝く星のまま、崩れることなどなかったのに
温かいけれど、優しいけれど
あなたはもうどこにもいない
私が目覚める頃、あなたはとっくに幻想の果て
願いを叶えることは出来たかな
あなたの望み、私は知っている
自分でも気付かない戸棚の隅に
隠されたままだった約束
望んで差し出した誓いがあっても
放り出した首が微笑んでも
一つだけ離すことの出来なかった宿命
あなたの証明、血を分けた王冠
私はそれを見つけてしまった
見つけてしまったのだから
別れ際、成就を願っても良いでしょう
噛み合わないあなたの幸福ぐらい、祈ってあげても
どうせ私に罰を与えるのは神でも悪魔でもなく
私でしかないのだから
ありがとう、私のあなた
さようなら、愛しき太陽
あなたへの愛を私は告げない
だから想うがまま駆けて行って
もう二度と会えない
もう一度私も立ち上がるから
警笛が鳴る
おはよう、一人きりの部屋で呟くことから始めよう
あなたが照らす世界に祝福を
(記憶の海)
5/13/2025, 12:01:29 PM