初心者太郎

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「そこのあなた、もしも世界が終わるなら何をしたい?」

学校から帰宅途中、Tシャツに短パンの知らない男に話しかけられた。彼はメモ用紙とペンを持っていて、何かの取材かなと思ったし、割と面白い質問だったので、真面目に考えてみた。

「うーんと……、家族と一緒に居たいし、友達と遊びたいし、美味しいものをいっぱい食べたいです」
「どれか一個しか選べないとしたらどれを選ぶ?」

どれか一つと言われたら、難しい。もしも世界が終わるなら、その前に色々なことをしたいのだ。俺は悩みに悩んで、

「やっぱり家族と居たいです」
「ふーん、なるほどなるほど」

彼は俺の言ったことをメモしているようだ。やっぱり何かの取材だろうか。俺は気になって聞いてみた。

「これって、何の取材ですか?」
「ああ、私は小説家なんですよ。これに関しての皆さんの願望を聞きたくてですね……」
「へぇ」

男はメモをめくり、取材した人数を数えて「よし、これで百人目だ」と言った。

どんな小説を書くのか知らないが、百人にインタビューすることは簡単なことではないから、勉強熱心だと思った。

「これぐらいいれば良いか。じゃあ今度は実際に見てみたい」
「は……?」

男は指をパチンと鳴らすと、俺は全く知らない別の場所に瞬間移動した。周りにいるのはざっと二百人ほど。俺の家族も含まれている。

『皆さん、この世界は明日滅亡します!ご自由にお過ごしください!』

俺は頭の中が真っ白になった。

お題:もしも世界が終わるなら

9/18/2025, 1:22:40 PM