NoName 777

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「あれからどれくらいの時が経っただろうか」

誰とも接することも無く、何十年という年月を独りで過ごしてきた。

寂しさというものは最初からなく、何故誰かと共にあろうとするのかが分からなかった。

きっと、それは寂しいことなのだろう。だが、それを理解することも無く、理解出来ることも無くここまできた。

「最後に、人と触れ合ったのは何時だったか」

自身の右手を眺めながら思いを馳せる。

どれだけ思考を繰り広げても、思い出すことができない。

そもそも、人と触れ合ったのだろうか?

触れ合ったとは思う。過去すぎて思い出すのも一苦労だ。

その時の温かさを思い返す。

「……」

人と触れ合う温かさ。確かにあったのかもしれない。

暖炉に手をかざす。

木々が弾ける光景に心と手が暖まる。

「暖かい。こっちの温かさの方が100倍心地いい。こんな考えしかならない俺は、きっと誰にも理解されないだろう。そして、一人でいて正解だった。誰も愛せないし、誰も愛してはくれないだろうから」

もし、もしもだ。こんな俺を受け入れる誰かがいたとしたら、誰かと共にあゆみ、独りが寂しいと感じたのだろうか?

「年かな。こんな事、考えても仕方ないのにな。いや、これが寂しさを感じているということか?ははは。柄にもないな。ありえない。だとしたら、こんなにひとりが楽しいはずがない」

だとしても、やはりこんな自分でも受け入れてくれる人がいたのなら、何かが変わっていたのかもしれない。

2/28/2025, 12:20:21 PM