幻覚

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『お気に入り』

「それで次の任務ですが……」


任務の話をする、と呼ばれたので上司の執務室に入った俺は、目に入ったものにぎょっとして足を止めた。上司があまりにも普通の顔で此方を見てくるものだから、気を取り直して入室した。上司がそのまま話を始めるせいでどこを見て話を聞いていれば良いのか分からない。少し視線を上げると上司の頭に顎を乗せて御機嫌にニヤニヤしている兄貴分が目に入るのだ。分厚い前髪が無くなったために表情が良く分かる。かと言って視線を逸らしたところでごろごろと重低音が部屋中に響いているのだから大して変わりはしなかった。

2/18/2024, 8:58:41 AM