#雪を待つ
なぁ友よ
あんたは常に真摯であり続ける、という努力を怠らない。
あんたは
誰もが棘付き薔薇を
ただ棘付きだから気を付けてね、と渡す所を
あんたは
棘を全部取り払って尚。
棘が付いてるかもしれないから気を付けてね、と言う。
お人好し。
「今日はご機嫌斜めなんだ?」
「うん。」
「皆が目を見合わせて驚いてたよ。今日のあんたは冷たいって。」
「うん。ごめん。」
この人間大好きなお人好しは
ほんの一握り以外の人間を時々放り出す時がある。
誰にも構ってやってるヒマはねぇ、って感じでね。
「どうしたんさ?」
「ううん。」
口が硬い友人だな。
「雪だるま作ろう〜」
「雪が降ったらね。」
おや、本当に今日は冷たい。
困ったね、と溜め息を溢すと彼女がつられて息を吐いた。
「人間なんてみんな、大っ嫌い。」
「へぇ?あんたが?」
「自分勝手で、すぐに八つ当たりする、喜んで被害者面をしてバクバク他人の不幸を食べて指差して笑う。ーー今日は私が笑われた。」
「あらま。」
「私は被害者じゃないっ、私はたまたま今日アンラッキーだっただけで、不幸じゃない。指差して笑われる意味が分からない... ...っ、」
なんて言葉を掛けるべきだろうか。
悩んで結局、何時もと同じ事を言うしかなかった。
「「距離を取りなさい。」」
何からでも良いんだ。
そんな記憶から距離を取っても良いし、
そんな人間からも距離を取っても良い。
あんたは孤独じゃない。
「雪が降ったらもう一回、歌ってくれる?」
「うん?」
「私も雪だるま作る。」
「良いね。」
12/15/2023, 12:44:00 PM