とある恋人たちの日常。

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 こういううっかりは、いつかすると思っていたよ。
 
 彼女から道に迷ったと連絡があって、嫌な予感がした。
 
「ねえ。そう言えば昨日の夜、スマホ充電した?」
『……してないかも……』
 
 こういうタイミングに限ってー!!
 なんかそんな気がしたんだよね。
 
「どれくらいで充電切れそう?」
『分からないですけど……』
「確認してみて」
 
 ゴソッと音が聞こえる。
 
『……15%でした』
「ウソでしょ!?」
『仕事でも今日使ったんです』
「より充電しなきゃダメでしょ!?」
 
 と、話している間にも充電は減っていく。
 
「ごめん。とりあえず充電が無くなると困るからメッセージでやり取りしよ」
『はい、ごめんなさい』
「今後、家に帰ったら充電チェックするからね!」
『はーい』
 
 ごめんなさいと言っているけれど、さすがに今みたいな状況はヤバすぎる。可愛いけれど注意はしなきゃ。
 
 とりあえず通話を切ってから、彼女が行ったであろう場所の近くまでバイクで向かう。
 バイクを駐輪場に停めて、元々の待ち合わせの場所に向かうが当然彼女はいない。
 
「さて……」
 
 どこから捜そう……。
 
 とはいえ、救急隊で救助や捜索もするからな。
 本気で捜すからね。
 
 見つけたら、充電器を渡して彼女から離れないようにしないと。
 
「本当にどこへ行ったんだか……」
 
 深呼吸をしてから、俺は彼女の性格や仕事で培った経験を元に探しに行った。
 
 
 
おわり
 
 
 
三〇七、どこ?

3/19/2025, 11:36:15 AM