大勢の人で賑わう日曜日の大型ショッピングモール。
今日は、幼馴染みの岩橋と一緒に買い物に来ていた。
俺とじゃなくて、女友達と来ればいいのに。
本人曰く、友達が少ないし、俺だと気を遣わなくていいかららしい。
てか、高校二年の年頃の男女がこうして一緒に買い物をするのは、デート……だよな?
……なにを考えているんだ俺は。
そんなことを考えている間に、前を歩いていた岩橋がいつの間にかいなくなっていた。
どこへ行ったんだ?あいつ。
周囲を見渡すと、岩橋はショーウィンドウの前でなにかを見ていた。
近寄って、背後から声をかける。
「なにをそんなに熱心に見てるんだ?」
「うん」
返答が適当になるほど、なにかに夢中になっている岩橋。
ショーウィンドウの中には、真っ白のウェディングドレスが飾られていた。
肩が丸出しで、色っぽいドレスだ。
岩橋は花嫁に憧れる夢見る少女のように、ウェディングドレスを見つめている。
「お前にはまだ早いと思うぞ」
「うん……まずは相手を探さないとだね」
ショーウィンドウに映る岩橋と、目が合う。
いつもの岩橋とは違い、色っぽい目をしていた。
トクンと、鼓動が跳ねる。
幼馴染みにときめいてどうするだ、俺。
「まだ買う物あるんだろ?さっさと行くぞー」
「あっ!待ってよー!」
俺は逃げるようにその場から立ち去る。
まさか岩橋が、俺のことを……ね。
「ちょっとー!置いてかないでよー!」
岩橋の声を聞くたびに、俺の歩く速度は上がっていった。
6/8/2025, 1:54:11 AM