kiliu yoa

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かの有名な平家物語の冒頭部分を思い出す。
 
 和多志の仕える主は、この文を日常的によく唱えた。それほどまでに、好んでいたものは、他に無かった。

 諸行無常。

 一見すると、同じ事の繰り返しのような日常でも、その瞬間、その一時と同じ時は、もう二度と、決して訪れることは無い。

 和多志は、そう解釈している。

だからこそ、大切なのだ。あたり前のこの平和な日常が…。
 
だからこそ、大切なのだ。この日々に、瞬く間に過ぎ去ってしまう時に、感謝することが…。

 主は、それを…まだ、幼き頃に知ったのだ。知ってしまったのだ。

 この日々は、決してあたり前では無いことを…。親しき者たちが、心から笑い逢い、生きていることの喜びと有り難みを…。

 

8/5/2023, 2:28:32 PM