わたしは。
楽しくないのに、面白がるふりをした。
好きじゃないのに、とにかく、笑っていた。
わたしは、そういう性質だ。
本当に厭になる。
「あら、お客様は帰ったの。すっかりむくれているわね」
「……最初からむくれているわよ」
「うん。じゃあ、お茶にしましょう」
あなたの長くてきれいな髪がなびく。
わたしのこんな性質を知っているのは、あなただけ。
あなたは、なにもかもつまらないわ、大っ嫌いなの、ってぶすっとしたわたしに笑いかけてくれる。
厭な気持ちが、少し、すうっと軽くなる。
淹れたての紅茶を飲みながら、向かいに座るあなたのことを考える。
ねえねえ、わたしね。
あなたとお話するのは楽しい。
あなたに笑いかけるのは好きよ。
わたしの、唯一のお友だち。
『好きじゃないのに』
3/25/2023, 1:33:16 PM