さてと

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平凡な日々になんとなく物足りなくて、隙間を感じる。風でもいいから隙間に吹いてほしい。心の余白を満たすようなハプニングが欲しい。こんな夜を寂しさと呼ぶのだろうか。この寂しさは何で埋まるのか。

ロマンチックのスイッチを探す。華やかな街、人で賑わう表通り、どうやらここにスイッチはない。映画のなか、本のなか、活字や画像でも心の穴は埋まらない。日常のどこを探しても、ロマンチックのスイッチが見つからないときがある。無駄のないデザイナーズマンションの室内灯のスイッチを見失なうように、気がつけば、血まなこでロマンチックを探してた。ムードのかけらもなく。

ベランダに気づかれした身体を預け、落ちるフリをしてみる。タバコをふかし夜空を見上げる。視界のなかには月がある。いつもの月だ。ロマンチックの安易なスイッチとして月が有効なことは知っていたけど、吉本新喜劇のようにお決まりのものでは満足できそうもないほど、穴は広がってる。

今夜は三日月だ。月が薄目を開けてる。ロマンチックを逃したセンチメンタルの行先はフテ寝だ。強い酒で睡眠をうながし、布団に転がり深夜テレビと添い寝する。
吉本新喜劇の再放送が流れた途端に、スイッチを探してることさえもう忘れていた。

#短編のようなもの

1/10/2026, 1:38:22 AM