命が燃え尽きるまで
あの子の未来を守る為に誓った日から、いつもこの日が来ないでくれと願っていた。
否、命運を覆してしまったのだから、これまでの日々が有り余る幸福の連続だったのだと、初めて神というものに感謝をした。
私のちっぽけな命はもう次に托されている。そして残りの僅かな時間は好きに使えと言われたから。本当の本当に私だけのもの。
全身の血が沸騰するかのように駆け巡り、私が憎んでいたはずの感情の全てを化け物に向ける。この感覚を久しく忘れていたが、でもこれが本来の私なのだと肯定すると、胸の重みがストンと落ちて軽くなった。あの辛い日々も結局は私が望んでいたものだったのだ。
「私の子は絶対に貴方に勝つわ!」
そう言い放つと、化け物は目を丸くした。
全てにおいて超越している。だが、孤独だ。強者故の救いもない無味透明の渇きをよく知っている。一部でも分けてあげたいというわがままを、あの化け物は意図せず少しだけ飲みこんだのだから私は大げさに笑ってやった。そして安心して確信したんだ。私の出来なかったことを、あの子はきっと越えられるだろうと。
9/14/2024, 4:40:31 PM