NoName

Open App

──感情の乗らない漆黒の瞳。静かで、つやめいて、高潔な黒。なんの色にも染まらない瞳。そのまなこが今は静かに閉じられている。その瞼のおくにはあの黒を含んでいるのか。今、いまいちど。長い睫毛をふるわせてくれ。奥につかの間ねむる安らかな瞳を見せてくれ。その瞳と視線が交わったならば、一瞬すらも悠久のときと思えることだろう。

3/14/2024, 10:32:53 AM