囚人

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私はいつも1人の人形と過ごしている。幼い頃から今まで、生きている友達が出来たことがない。両親も日々喧嘩ばかりして、私には一切興味を示さない。そんな中、私はただ1人人形とのお喋りに夢中になっていた。
今日も私は寂しさを紛らわすために、惨めな自分から逃げるために、人形に話しかける。人形は相変わらず会話をしてくれるはずはなく、ただ一方的に私が話しているだけだった。こんな情けない姿を、外の人間に見せることは出来ない。こんな姿をさらけ出した途端、皆私から更に距離を置いてしまうだろう。私はそんな妄想をしながら、人形にまた話しかける。人形に話しかけ続けたところで、寂しさは倍増するだけだ。そんなことは分かっている。しかし、こうすることでしか私はこの日常を乗り越えることが出来ないのだ。私は惨めで醜く孤独な存在だ。私と入れ替わってくれる人などこの世にはいない。幸せな者はそのままずっと幸せで、私のような孤独で寂しい人間は、一生このままなのだ。この事実だけは動くことがない。
私は今日も、この先も、一生、永遠に、この人形と寂しく生き続けるのだ。

12/20/2024, 1:24:27 AM