『新年』
冬休み、
受験生の私は塾に通い詰めの日々が続いていた
常に机に向かい、外に出るならば家と塾の往復のみ
遂に勉強はスマホにも侵食し始め、
待ち受けには今日やるべき勉強のリストが表示された
「えーっと…今日は古文と英単語の暗記……」
今日も画面いっぱいに陣取るリマインダーに目を通し
ついでに時間を見ようと時計に目を移すと
<12月30日 0:04>
と、華のないスマホの画面に表記されていた
「24時間後には2025年かぁ……早いなぁ」
時計も回り、23:34
年越しそばを食べながらリマインダーに新しいラストを追加していた
「また増やしてるの?」
「うん」
「持ち物全部が受験生に染まってくねぇ」
母とそんな会話をしながらテレビに目をやれば
色鮮やかな装飾の中で踊るアイドルと一緒に年越しのカウントダウンが始まっていた
「5…4…3…2…1…HappyNewYear!!」
「HappyNewYear、いよいよだね。受験」
「そうだね。あと少しだけ勉強して寝ようかな」
「…平気?無理しないようにね」
何を終わらせよう、とリマインダーを見ると
1件メッセージの通知が入っていた
<あけましておめでとう。もしよかったら合格祈願も兼ねた初詣一緒に行かない?>
勉強漬けの毎日とリストだらけで可愛さもオシャレもないスマートフォン
もしかしたら私にも彩りが入るのかもしれない
1/1/2025, 2:09:23 PM