霜月 朔(創作)

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無垢



産まれたばかりの赤ん坊は、
皆、無垢なのだろう。
そして、
赤ん坊から子供、
子供から大人になる過程で、
邪念や煩悩が沸き起こり、
穢や罪を知り、汚れていき、
無垢では無くなっていく。

当たり前だ。
無垢のままでは、
この腐り切った人間社会を、
生きていける筈がない。

無垢であること。
それは時に、
他者を、そして自分をも、傷付ける。

ならば、
大人になっても尚、無垢であるが故、
酷く傷付き、苦しんでいる君を、
私は慰め、護ろう。
…君が無垢なままで生きられる様に。

それとも。
君を護ってきたこの手で、
私が君を汚してしまおうか。
…君が無垢では無くなる様に。

5/31/2024, 5:29:03 PM