「書く習慣」と同じ運営がリリースしている交流アプリに、焚き火のアプリがありまして、
スレッド主の文章書き込み中を表すエフェクトが、そのまま「揺れる羽根」だったのを、
今更、なんとなく思い出した物書きです。
今回は羽根のお題ということで、こんな厨二ふぁんたじーのおはなしをご用意しました。
「こっち」ではないどこか、別の世界に、「世界線管理局」なる厨二ふぁんたじー組織がありまして、
そこでは世界と世界を繋ぐ航路を敷設したり整備したり、時には航路を封鎖したり、
滅んでしまった世界からこぼれ落ちたチートアイテムなんかが悪さをせぬよう収蔵保管したり、
ともかく、いろんな仕事をしておりました。
その日の管理局は大忙しで、
なんでも勝手に、違法に誰かが敷設した、航路と航路の不法不明交差点のせいで、
安全航行をつとめておったハズの宇宙イカが、密航船と正面衝突をカマしたとのこと。
そういえばこのアカウント、過去投稿分にオネェな宇宙タコがどこぞで大活躍してましたね。
「あらヤダちょっと!アンタ管理局の法務部?!」
まさかの打ち身で済んだっぽい宇宙イカです。
管理局内の医療機関に搬送されて、そこで宇宙タコと再会して、まさかの感動の対面です。
「何千年ぶりかしら、ちょっと、ちょっと!
覚えてる?!有翼のワタクシと無毛のアンタ!どっちがより美しいかでケンカしてたわ!」
なんということでしょう。この宇宙イカ、お題がお題なので、どうやら羽が映えている様子。
あんまり動くので抜けた羽根が、揺れる、ゆれる。
「忘れるもんですか!ああ、なんてこと!
種族の違いを超えて、アタクシと美の果てを追求した体に、こんなに傷が付いちゃって」
オネェの管理局法務部長、オネェ宇宙タコが宇宙イカの痛ましいタンコブに、涙を流します。
「処置が終わったら、アタシに連絡してちょうだい。久しぶりに思い出話しましょう、あぁああ……」
うねうね、うぞうぞ、みょんみょん、
シチュエーションだけ見れば、揺れる羽根が抜けて舞い踊る美しい場面なのですが、
なんせ、有翼宇宙イカと無毛宇宙タコです。
しかも双方、オネェです。
申し訳程度に踊り揺れる羽根だけが、今回のお題が「揺れる羽根」だと教えてくれます。
で、このオネェ宇宙タコ、管理局の法務部長が、
【ゴニョゴニョ】年ぶり盟友との再会を喜んでいる間、部下の皆様は何をしているかというと。
「時を殴るフライパン??」
「あのねー、イカさんの事故現場に、落ちてたぁ」
管理局法務部の、執行課実動班、特殊即応部門では、宇宙イカの交通事故に関する検証と調査が急ピッチで、為されておったのですが、
事故現場には密航船から落っこちた、とある滅亡世界のチートアイテムがひとつ。
それを収蔵部が回収して、調べてみたところ「時を殴るフライパン」と判明しました。
どういうことでしょう。
細かいことを気にしちゃいけません。
「温度と勢いで、時を進めたり戻したりするのぉ」
フライパンをぶんぶん!収蔵部から来たお嬢さんが、遺留品の説明をします。
「温めたフライパンで殴れば、熱と勢いを足した結果の分だけ時間を進めてー、
冷やしたフライパンで殴れば、冷気と勢いを足した結果の分だけ、時を戻すんだよー」
そ〜ぉれっ、えぃやー!
振りかぶってコォン!!氷水から出したフライパンをミトン手袋で強く握って、
ほくほくフライドチキン1ピースを、チカラいっぱい振り抜くと、コケェッ!!
滅亡世界の不思議パワーと不思議理論により、フライドチキンから黄金の、メスのニワトリが一羽。
「どういう原理だコレ」
「細かいことは、気にしちゃダメだよー」
コケコッコ、コケコッコ!
今回のお題に従って、管理局内で暴れるニワトリ。
飛んで跳ねて、揺れる羽根が舞い落ちて、
殴るチカラが不十分だったのか、フライパンの冷やしが足りなかったのか、
たった20分程度でニワトリ、羽根を残して1ピース、ほくほくのフライドチキンに戻ります。
「……どういう原理なんだコレ」
「だから、細かいことは、気にしちゃダメだよー」
ゆらゆら、ゆらゆら。揺れる羽根が舞い落ちます。
「時間制限があるのか?」
「単純に、エネルギー不足だった可能性もあるぅ」
法務部長がうねうねしている裏で、法務部の部下と収蔵部の教員は、フライパンを熱したり冷ましたり、ドラゴン種のパワーで振り抜いたり。
いろいろ、試しておったとさ。
10/26/2025, 6:49:43 AM