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手を取り合って


俺達が信じられるのは、お互いだけ。
だから、これからも手を取り合って。
この厳しい現実を生きていく。

「なぁ、今日、暑くね?」

「ほい、水盗ってきたぞ。これ飲んで元気出せ」

なんて、太陽が照りつける、暑い日も。

「あぁー、今日はさみーじゃん」

「そんじゃ、こっち来いよ。俺が温めてやる」

なんて、凍える風の吹く、寒い日も。

隣にはいつも、お前がいて。
こんな状況をつい嘆いてしまう、俺に。
お前はいつだって笑って。
手を握ってくれるんだ。

だから、俺だって、お前に何か返したいから。

「なぁ、お前は俺にしてほしいことってある?」

水盗って来ようか?
それとも、毛布?
あ、雨降ってきたし、傘か。

なんて。
俺が、彼の力になりたくて。
あれこれと必死で言葉を並べるけど。

お前はそれに、悲しげに笑って。
首を左右に振る。

そして。

「お前は何も盗って来なくて良いよ。俺みたいなことしなくて良い」

「っ、けど、それじゃあ、俺ばっか助けられてる」

俺はお前と支え合って生きていく、って決めたのに。

「そんなこと無いよ。お前が傍にいてくれるだけでさ……お前の存在に助けられてっから」

そんなの……俺だって、おんなじだ。

俺だって、お前が傍にいてくれることが、一番の支えになってるんだよ。

だから。
俺は、そんな思いを込めて。
彼へと手を差し出すと。
お前は柔らかく微笑んで。
俺の手を取った。

そして。
本格的に降り出した雨から、逃げる様に。
俺と彼は手を繋いで、走る。

二人で休める場所を探して。


                    End

7/15/2024, 1:26:35 AM