霧夜

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どんどん高く登っていく。
風を受け、緊張を纏いながら。
初めは全然平気だと思っていたのに
今ではそんな面影どこにもなく
全身の血の気が引くような、そんな感覚に襲われる。

...そろそろ着くぞ...

ジェットコースターの急行落下が!!

...イヤァァァァァァァァァァァ!?!?

---二作目---

ふわりと吹く冷たい風が、体の芯を凍らすように吹き荒れる。
目の前には、大きくて半透明な死神が一人、こちらを見据えるように立っていた。
逃げ出したくても、足がすくんで、座り込まないようにするのがやっとだった。
変な汗が湧き出して、頭が真っ白になって、呼吸が荒くなっていく。

『:.',・/;‘&¥'=;']#$$&'=:+$-(☆.._](},}"*$#<~』

理解できない言葉を発しながら、死神の鎌は俺へと振り下ろされた----


----

「う、はっ、アァ......もうヤダ...うぅぅ...」

休日の早朝、突然せいらが俺の元を訪れ、急に抱きついてきた。
身体は僅かに震え、珍しく顔を涙でぐちゃぐちゃにしている。
あぁ、今日は怖い夢見たんだな...なんてぼんやりと考えながら、優しく抱きしめ返す。

「おぉ、よしよし。今日怖い夢見たんだな...怖かったな...俺が傍にいるから、もう大丈夫...」

「...うぅ...」

せいらはホラーや怖いことが苦手だから。
そういう思いをした時は、決まって俺の元を訪れて、こうして泣き付いて来る。

...せいらには悪いが、怖いものが嫌いと言う所は凄く可愛らしいなと思う。
いつもは俺が年下のように優しく甘く扱われて、翻弄されてばかりだから。
こういう弱いところが見れて、なんと言葉にすればいいか分からないが、良いなと思う。

「...お前...絶対今余計な事考えてるだろ...口が笑ってるぞ」

「いーや?余計なことは考えてねぇよ。ただこう言うのも良いなと思っただけだ」

「...何がいいんだよ、こっちは全く良くねいんだが??」

「ふはッ、悪い悪い」

こう言うせいらの意外な一面が見れるのだから、偶にはスリルとかも悪くないなと思ったりする。


#スリル
116作目

11/12/2023, 11:49:19 AM