パリ時代の夏、明るい色調で描かれた彼は自画像の中で『麦わら帽子』を被っている。それはまだ習作を思わせる。
牧師の家庭に生を受け、画商を生業とするも上手くいかず、聖職者に憧れるも行き詰まり、画業に活路を見出して、謎に包まれた拳銃によって死に至る。僅か37年の生。
フィンセント·ファン·ゴッホ。とても愚かで不可思議な男だ。あれほど他者を求めながら、弟一人を除き誰一人からも必要とされることができなかった。困惑するほどの生命力に溢れた強迫的な命の孤独。その突然の『終点』を通り過ぎ、ようやく人が触れられるほど薄められたということか。娯楽としては興味深く、事実としてはあまりに哀しい物語だ。
8/11/2024, 4:41:22 PM