「きれいだね」
なんて君がつぶやいたらから、隣にいた自分は、そうだね、と頷いた。それは反射に等しい。
だって、そうだろう。君がそういうならそれはきれいなものなんだ。
やや強くなってきた陽射しの中をひらひらと舞いながら遠ざかっていく小さなそれに、ちらりと視線を向けたが直視はできずに、隣の肩先を見つめる。
陽を受けた白いシャツがあまりにも眩しく見えて、そこからも視線を外してしまった。
彷徨わせた視線は、結局、自分の上履きの先で止まってしまう。
嫌いなものも、好きなものも、似ているのかも知れない。
どちらにしたって、見つめ続けることなんて、できやしない。
「行こっか」
「ん」
歩き出した背中はやはり眩しくて、逸らした視線を向けた陽は、さらに目を焼いた気がした。
『モンシロチョウ』
5/10/2026, 11:42:16 AM