静月涙花

Open App

お題『Love you』

「私は貴方を愛している」
そう、あの時から少なくとも私なりにそう思いっていた。しかし、大人のいう「愛」と比べると、それはどれほど幼稚なものなのだろう。
13年の時日を想い続けてきたが、人を愛おしいと感じたのは初めてなのだから。子供の私が言葉にするのは烏滸がましいのかもしれない。

それにしても、全くおかしなものだ、この言葉を前にすると人は臆病になってしまう。深呼吸の後、息を一つ飲み込み覚悟する。

13年前、ここで一緒に遊んでいた、あの男の子へ…
「昔、ここでよく遊んだ日のこと覚えてますか?」
貴方は驚いたようにこちらを見ていた。やはり、私だと気付いてなかったんだ。何となくそう感じていた、じゃなきゃ、邪険に扱ったりしなかったと思うから…

「ここで初めて私に声をかけてくれた時から貴方が好きでした」
「貴方とここでの時間は私にとってなによりも宝物でした」
そして…
「貴方はどうかわからないですが…私は貴方の事を愛し続けていました」

そう、あくまで「私は」なのだ。
貴方が私のことを想っていてくれてたとは限らないから。
この永遠のように長い一瞬が早く終わって欲しい。

しばらくして涙が溢れてきた。正直、何と返答を貰えたか覚えていない。
ただ、今は溢れんばかりの想いを今まで溜め込み、やっと言えた私を褒めてやりたい

その後、波乱万丈ながらも二人で幸せになったのはまた別の話だ。

2/23/2023, 1:18:47 PM