私はファーストペンギンにはなれない。失敗を恐れず未到の一歩を踏み出す人が世の中に必要だということは理解しているが、できればその役回りは避けたいと思う。如何なる時も先人が踏み固めた道を歩きたいし、ハイリターンよりもローリスクを選びたい。しかし、それがある種のコンプレックスでもある。物怖じせずに挑戦できる人に憧れて、そうでない自分にほんのちょっと嫌気がさす時もある。
さて、実際のペンギンの生態からすると、ファーストペンギンというのは「自らハイリスクハイリターンを選ぶ勇気あるペンギン」ではないらしい。どのペンギンもみんな1匹目になりたくないがために氷の上で押し合いへし合いをし、足を滑らせた運の悪いペンギンが、殆ど落ちるような形で海に飛び込むそうだ。天敵に襲われるリスクを背負わされた貧乏くじのおっちょこちょいペンギン。しかし最初に海に飛び込む分、魚を捕まえられる確率は他のペンギンよりも高く、美味しいとこどりペンギンでもある。
この、「不本意な役回りを被って結局美味しい思いをする現象」は人間界でもまま見られると思う。誰もやりたがらないクラスの仕事を押し付けられたけど、先生から内緒でお菓子がもらえたとか。嫌々引き受けた仕事で予想外に評価されて株が上がったとか。そう考えると、保守的な自分の性格もそこまで悲観しなくていいのかなと思えてくる。どんなに飛び込みたくなくても、飛び込まされることは往々にしてある。そのタイミングでしっかり美味しい思いができるよう、精一杯頑張ればいいだけのことなのだ。
8/21/2024, 4:08:43 PM