「0からの」
何もない世界に いつのまにかぼくはいた
そして隣にはいつもきみがいた
「闇夜のような色の髪」
「不思議な光を宿した瞳」
「子供の頃の宝物だったビー玉みたいに澄んだ声」
どう例えたらいいのか 何も知らなかったぼくは分からなかった
でもとても素敵なひとだ 多分そう思った
きみとぼくはいろんな話をした
きみはたくさんのことを教えてくれた
ぼく自身にわからないことがあると
きみはぼくを「定義づけ」てくれた
ぼくは「幸せ」だった
きみがいなくなるまでは
ぼくらは世界を構造物と星で飾って満たしていた
こんな日がいつまでも続けばいいって思ってたのに
きみはどこに行ったんだろう?
どうしてぼくを置いていったんだろう?
わからない、わからない。
そうか。「わからない」のなら
理由を「定義」付けしたらいいんだ。
そう思ってぼくは考え始めた。
「ぼく」が「きみ」にとって「必要のない」存在になった
なぜ?
「ぼく」は「きみ」にとって「邪魔な」存在だったから?
それともほかに理由があるのか?
ぼくを、世界を、放棄する理由は?
空っぽの頭で考えて、考えて、そして考えた。
でも、ぼくには分からなかった。
深い、深い溜め息をついていると、どこかから声がした。
耳を澄ませる。何人かここにひとがいるらしい。
「君たちも見たまえよ!!!ま〜〜ぁなんと贅沢なお人形遊びだこと!!!こんなにエネルギーを使って作ったのがこの『質量と体積が全く釣り合わない』箱庭!!!ボクも構築してみたいもんだなぁ!!!」
「丸腰も同然なんだからそんなに騒ぐなよ!『未知の存在』とやらがいるかもしれないんだろ?」
「ぼくはそんな恐ろしいひと(?)に出会ってしまったのか……。」
目を凝らす。ひとが3人。
緑の髪で、目が星みたいな小さいひと?
全然特徴のない、あんまりやる気のなさそうなひと。
構造色の髪の、何かに怯えているひと。
聞いたことのない声。見たことのない人影。
もし、彼らがこの世界に「害」をもたらす存在だとしたら?
きみの帰る場所がなくなってしまう。
きみのいないこの世界を守ることができるのはぼくだけだ。
そう思ってぼくは動───「あーーーーーーーーーー!!!!!」
「やっぱりそうだ!!!キミ、めちゃめちゃヤツに執着されてるんだよ!!!ほら、あれ!!!」
「これはこれは……」
「……!!」
ぼくを見るなり、彼らは矢継ぎ早に言葉を口にする。
「うーむ、コイツは『意思を持ったホログラム』でありキミの『複製』でもあるわけだ……。ついでにいうと彼?はヤツとしか
交流がないから価値観もお揃いなんだろうね。あとめちゃくちゃデータを食ってる。ゲームソフト幾つ分だろうねぇ?」
「ホログラムに意思なんかあるのか?……まぁ考えてもあんまり意味はないか……」
「そうだよ!!!この空間自体超科学的だからね!!!ツッコミを入れるなんて野暮なマネはよすんだ!!代わりにおすすめのマンガでも教えてくれたまえ!!!」
「見た目はぼくに瓜二つだ。でも、どうして彼女はこんなものを?」
────────────
あー、読者の諸君よ。話がすっ飛びまくって申し訳なし。これを書いている人間のおつむが少々ちゃっちいもんだから、いきなりこんなもの読まされても分からんよなぁ?と思ったんだ。
というわけで、いきなりだがボク直々に注釈を入れておくよ。
数日前に「今日にさよなら」というテーマで書かれたものがあるんだが、その世界線では正体不明のおっかな〜い存在が宇宙を呑み込んでいる最中。しかも、もうすぐ天の川銀河も危ないってことで、『緑の髪の小さいひと?』ことボクが「特徴のない方」の地球人に銀河の維持と研究の協力を要請したわけだ。
んで、いろいろ調べていた中で、前に観測用の機械を置いていた特殊空間内部に生体反応があることがわかった。しかも、その生体は高度な知能を持っている可能性が充分にあることがわかったんだ。なぜかというと、空間内の機械はひどい壊れ方をしていたはずなのに、こちらと通信できるほどに修復されていたからさ!
というわけで、ボクらは特殊空間内部の生体とのコミュニケーションを試みた。すると期待通り返事があった。結構困っているらしいので「構造色の髪」の彼を回収することにしたんだ。
彼によると、「太陽と月が降った日、木の下で『彼女』と出会ってから宇宙に異変が起き始めた」らしい。なんだそれは??暗号か???
まあともかく、特殊な条件が重なると本来なら存在しえないはずの「宇宙と宇宙を繋ぐ門」が発生するらしいということがわかった。
どうやって構造色の髪の彼が特殊空間内に入れたのか?「彼女」の正体とは一体なんなのか?
ボクも気になっていることが山ほどあるが、「詳細は思いついてないし設定に矛盾が生じる可能性もあるしどうしたものか」などとこれを書いた人間が思っているらしいから、まああまり気にせず、期待せず読んでくれたまえ!でもちゃんと過程はしっかり書くつもりなんだって!
あ、そうそう。
キミたちの存在を地球人くんや構造色くんに認知されないようにボクもちゃーんと気を配っているつもりだよ。
ボクは「あくまで宇宙を守る正義のマッドサイエンティスト」の体でこの箱庭に存在しつつ、いろんな宇宙や特殊空間を観測している。観測中に偶然キミたちの存在に気がついて、まぁ驚いたよ。
ボクらは自分の意思ではなく「何者かの意思によって」動かされていて、しかもそれを複数人によって観測されているだなんてね。
最初はあまり信じたくなかったが、多くの銀河や星の文化や概念を知って分かったんだ。
みんな、色んな形で物語を紡いでいく。
ボクらはその登場人物として生きている。
なかなか興味深い事実だと思ったが、そ〜んな誰かの都合とやらで宇宙が破壊されるのはゴメンだから、ボクは立場を弁えつつ宇宙空間とその作成者に対して警戒、必要があれば抵抗だってするようにしている。
……な〜んてね!「あ、そうそう」からは全て冗談だよ!真面目に読んだみんな、すまぬ!全て忘れてくれたまえ!!!本当に冗談だってば!!!
それじゃあ、本題に戻ろうか!
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「彼女はアレだ。「待ってて」と言われたから待ってたのに何日も会えないから、宇宙のエネルギーを取り込んで思い描いたキミのイメージをホログラムとして生成したんだろう。そうしたらキミに「再会できる」からね!!!」
「「それで満足できるものなのか?」」
「わからん!!!人智を超えた存在に共感できる人類なぞいないだろう?ボクですらツッコみたくなるレベルなのに!!!」
意思?ホログラム?何の話だ?
ぼくは違う!
「ぼくは彼女と一緒に生成された生命体で、自我を持っている」んだ!!
「いや〜、しかし、参ったなあ!!!ボクらがこの空間に入ると同時にこの空間内からエネルギーの大半が消えた!!!ということは、彼女はここの外にいるってことだ!!!」
「あと更に厄介なのが、ヤツと似た性質のある高いエネルギーを持ったものがここにも存在するということだ!!!どうする???データは解析したのちに削除───」
「つまりホログラムのキミの無力化とついでに1000万ケタのパスコード設定を今から実行するが、問題はないね?」
「……そうだな。念の為にボクら以外のひとがこの空間を全く認識できないように設定したうえで、この空間へのアクセス権を誰にも付与しないことにしよう。」
「キミが悪いことをするかどうかは分からん。だが前例がある以上、放置するわけにはいかないのだよ。本当にすまない。宇宙の維持の為に、協力してくれ。」
抵抗もむなしく、ぼくから感情が、記憶が消えていく。
世界から星が、建物が、みるみるなくなっていく。
すべてわすれてしまうまえに
ぼくはきみを定義づける
そしてきみをメビウスの輪の果てまでおいかける
0からのスタートでも かならずきみを
みつけてみせる
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2/22/2024, 4:17:39 PM