【雪を待つ】
「明日は雪、降るかな?」
これは、そんな言葉で始まる
君との思い出の話だ
初めて会った時から
君はどこか
普通とは違った子だった
家事も勉強も
なんでもそっなく子だった
ただ、普通とは少しズレた様だった
可愛いものよりかっこいいものが好きで
映えるものよりガッツリしたものが好きで
甘いものより辛いものの方が好きで
異性より同性の方が好き
そんな子だった
でも、そんな君だからこそ
君のことをもっと知りたいと思った
一緒に買い物に行って
一緒に映画を観て
一緒に思いっきり遊んで
同じ時を過ごして
少しずつ君のことを知っていった
さらに時を重ねて
少しずつ君のことが分からなくなっていった
それでも、一緒に過ごした君は君でしかなくて
一緒にイルミネーションを見に行く約束もした
「ねぇ、明日は雪、降るかな?」
君はそんな問いかけを私にする
「どうだろうね、今夜の天気次第かな?」
「じゃあ、沢山お願いしないとね
“明日、雪が降りますように”って」
「どうして、そんなに雪が降って欲しいの?」
「だって、雪合戦したいし
かまくらと雪だるまも作りたいし
何より、明日はクリスマスだからね」
「叶うと良いね」
「うん!明日の朝、楽しみだなぁ」
「天気、今日一日晴れだって」
「そんなぁ、ホワイトクリスマスは?」
「イルミネーションで我慢するしかないね」
「雪が降る中のイルミネーション
楽しみだったのになぁ」
「仕方ないよ、天気は変えられないしね
それともイルミネーション行くの止める?」
「それはやだ、イルミネーションは絶対行く」
「じゃあ、準備しよ」
「分かった」
君と…ユキと待ち合わせをする
ユキはまだ来ない
ユキからメールが来た
“ごめん、もう少し、かかりそう”
メールにはそう書いてあった
“大丈夫だよ、気をつけて来てね”
私もそう返す
街灯の下、雪(雪/ユキ)を待つ
12/15/2024, 12:29:46 PM