かわべり

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「20歳」

 20歳になって真っ先にやったことを、未だに覚えている。
 当時一人暮らしをしていた私は、日付が変わって数分後に近所のコンビニへ行った。
 そして小さなビールの缶を手に取り、レジへと向かった。店員からは特に年齢確認もされず、普通にビールは買えた。

 すぐに家に帰り、ビールの缶を開ける。
 中からする香りは、幼少期から嗅いだことがあった。ビールが好きな父親が毎晩飲んでいたものと同じだ。
 意を決して缶を手に取り、ビールを飲む。
 そしてそのまま噎せた。
 苦い。めっちゃ苦い。無理だ。飲めない。
 私はビールをほとんど残し、適当な菓子を急いで食べた。

 そうして20歳になった日の夜は更けていった。
 未だに覚えている、苦い記憶だ。

1/10/2026, 10:12:51 AM