つぶて

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「あの雲、すっごい雲雲してるね」
「そうだね」
「なんかさー、こうもでっかいと飛びつきたくなるね」
「そうか?」
「思いっきりジャンプして〜雲に〜ダイブ!」
隣の友人は抱きつくポーズをして、きゃっきゃとはしゃいでいる。昔からあほだとは知っていたが、ここまであほだったとは。補習と暑さで拍車がかかっている。
「そんなに上手くいくか?」
「もふんっ」
私は想像する。遥か上空まで跳躍した友達は、どんどん小さくなり、やがて雲の一部にビタンと張り付いた。
「蜘蛛の巣に飛び込んだ虫みたい」
「えー気持ち悪い」
「急にテンション下がるな。というか、あそこまで跳べないだろ」
むすっとした友人は、それからはっとして、
「ふわふわの人が、ここにも〜!」
「あほか! 寄るな、暑いってのに!」
「いや〜、バチバチしないで〜」
遠くからゴロゴロと音が鳴っている。
私は翳りゆく空を眺めながら、いつまでここに居られるだろうか、などと考えた。

6/29/2023, 2:12:47 PM