やなまか

Open App

星が流れる。圧巻の星空だった。
命は巡るのだと占い師の彼女は言う。

戦いの中で散っていった兄弟をたまに…いや、毎日思い出す。
「また生まれてこいよ」
妙に感傷的になってしまい、真っ暗な海に囁いた。
今ならどんな事を話せるのだろう。
となりに明かりを持ったメルルが座り込む。青白い星とは違った温かい明かりだった。
「どうしました」
なんでもねぇよ、と言い掛けて、全員分はちと一人で持て余し気味だった。
「ちょっとよ」
「はい」
彼女は聞いていてくれる。
我ながら甘いな。自分以外に兄弟を知る人がたらと思ったのだ。




街で仕事を始めた孫娘が失恋の痛みを乗り超えて穏やかに笑うようになった。ごらんよあんなに嬉しそうに。
驚いたが孫を身を呈して守る男が異形でも本質は隠せん。畏怖と嫌悪は似て否なるもの。
占い師一族が変なのに惚れるのは血筋なんだから仕方ないさね。

10/3/2023, 12:10:54 PM