橙色

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「好きじゃないのに」

 真っ黒なコーヒーが入った白いカップに口をつける。さっきから何度も同じ動作を繰り返しているのに、コーヒーは全く減らない。その洋服、とても似合ってるね、と向かいの席から笑いかけるあなたはとっくに2杯目を注文していた。
 闇のような色のコーヒーも、君が褒めたピンク色のワンピースも、私は好きじゃない。好きじゃないのに飲んでいるのは、着ているのは、あなたの好みのものだから。あなたが喜ぶから。
 けれど、もう、疲れてしまった。あなたの理想に合わせるたびに、自分が上書きされて消えていってしまうような不安を感じる。
 好きじゃないのに、偽るのはもうごめんだ。

3/25/2026, 11:58:58 AM