『快晴』
外はよく晴れている。冬に着ていた服のどれもが今の気候に適していないけれどまだ衣替えが済んでいないのでどうしたものか。薄手のカットソーをどうにか探し当て、仕方なく厚手のデニムを履いて暑いぐらいの気温を感じながら恋人との待ち合わせ場所へ向かう。
半袖半ズボンの人もいれば春めいた色のコートを頑張って羽織っている人もいる街中に、先に来ていた恋人は小さく手を振る。
「今日あっついね」
「ほんとに」
ソフトクリームの看板に外国の観光客が列を成すのを見ながら、日傘とサングラスで防御力高めの人たちとすれ違い、デートを始める。
「どこ行こうか」
「服屋見よ。今家に着る服全然ないの」
「わかる〜」
今着ている服をなんとか掘り出したものだと力説する恋人の話にうんうん相槌を打ちながら手を繋ぐタイミングを計りかねている。外はよく晴れて、手には汗が滲んでいる。
4/14/2024, 4:26:58 AM