【別れのアイスコーヒー】
凍った星をグラスに。
アイスコーヒーを淹れた
あの星祭で一緒に拾った星々
アイスコーヒーの闇の中で
星は溶けながら輝きをとりもどし
グラスの中にあの夜空がもどった。
あの夜を思い出したら
今から彼が言おうとしている
「さよなら」はなかったことに
なるかもしれない
独りよがりの期待にかけた
おまじない。
でも、彼は、
ためらうことなくミルクを注ぎ
グラスの中の夜空を祓うと
静かに別れを話し始めた。
....
うつむいてあてもなくグラスをかき混ぜながら
私は考えている
いつからこんなにも
すれ違ってしまったのだろう
ミルクを入れない私のグラスの中の夜空では
まだ美しく星が輝いているのに...
<終>
#シロクマ文芸部
お題「凍った星をグラスに。」から始まる小説や詩
4/30/2023, 10:43:43 AM