『眠れないほど』
雪の降る季節のある夜のこと。
重そうな瞼を擦りながら
息子が僕に問いかけた。
本当に来てくれるかな。
ボクの家、煙突がないけども。
ずっと欲しかったあのゲーム
プレゼントしてくれるかな。
ボクは今日も母さんに「早く寝なさい」って怒られちゃうような、悪い子だけども。
僕は小さく微笑んで
「大丈夫だから、もうおやすみ」と声をかけ
息子をなだめながら思うのだ。
この心配を、
キミが眠れないほどしている間くらいは
彼の正体を秘密にしておきたいな、と。
12/5/2023, 12:42:18 PM