椿灯夏

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お題《曇り》


一度も晴れたことがない

《灰霧の町》

灰の雨が降り

年中分厚い書物のような曇が町を覆う

「たとえここが、世界のサイハテでも生きていかなきゃならねぇんで。旅人になる気もありゃしませんねぇ」


高木のように背の高い青年が癖のある喋り方で語る


青年はこの町の《霧の案内人》

なんでも識っているが

問いかけには答えない

その癖、自分の問いかけに答えない者は客とみなさない


いつも変わった異国の服を纏い

神出鬼没に現れては相手を奇妙な世界へ誘い込む

“価値あるものはすべて自分が決める”


それは青年が“お金”に価値がないといえば

何の価値もないということだ


価値はその者によって変わる

その者の世界を游ぐなら

その者の価値となるか去るか、だ


《途中書き》


3/24/2025, 2:44:28 AM