猫宮さと

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《私の日記帳》

窓の外は太陽が雲で覆われて、薄暗くなり始めてきた。
私は手持ち無沙汰になった状態で、ぼんやりと外を眺めていた。

あっちに置いてきた物は、どうなってるんだろう。
いつも読んでいた本。毎日起動させていたゲーム機。

ああ、こういう時の定番って、日記帳だなぁ。
行方不明になる直前の内容が、事件の核心に触れている。
事件に繋がる描写だったり、人外に変貌していく様子が記されてたり。

まあ、私の日記は大抵三日坊主で終わってたんですけどね。
何回かチャレンジはしてたけれど。

…だからこそ、見られると恥ずかしいんだよね。
『こいつ続かないのに何冊も日記帳買って、懲りない奴だな。』
とか絶対思われてる。

それに日常の事はネットで呟いてたから、むしろそっちの方が見られたら恥ずかしいかも。
本名を使わずHNで登録してた分、本音がダダ漏れだったり。
うん。そっちの方が羞恥心で死ねる。

空は本格的に雲に覆われて、窓からはパタパタと夏の名残の雨の音。

今こうして彼の傍にいることに、後悔は全くない。
けれど、置いてきたものに心残りはほんの少しだけある。

8/27/2024, 1:30:27 AM