小さな勇気
ずっとずっと。
俺は、君を見ていた。
君には気付かれないように、
…そっと。
君と俺は親友。
それで満足だって、
自分に嘘を吐き続けて。
俺は君の隣で、
友達として、笑ってる。
君が誰かに微笑むたび、
俺の心には、
小さな波紋が広がって、
静かな湖面に、
小石を落としたみたいに、
心が騒つくんだ。
本当は君の視線を、
独り占めしたいんだ、って。
そんな想いを、押し殺し、
密かに唇を噛み締める。
俺の中の、小さな勇気を、
砂漠で砂金を求める様に、
一粒ずつ掻き集めて、
君に、この想いを伝えたい。
俺の身勝手だと、
分かっているけれど、
君の一番になりたい、って。
でも。
そんな、小さな勇気も、
君の、凛とした笑顔の前では、
繊細な氷の彫刻の様に、
儚く砕けて、溶けてしまうんだ。
1/28/2025, 7:32:44 AM