明けぬ夜は無いのだと
止まぬ雨は無いのだと
雷鳴の空を背に
うたうように君が言う
溶けぬ冬は無いのだと
終わらぬ生は無いのだと
白銀の虚無を背に
うたうように君が言う
ならば君もいつの日か
自由にうたう日がくるだろか
春の陽気に躯を捨てて
朝日煌めく晴天へ
その翼でその声で
自由にうたう日がくるだろか
‹夜が明けた。›
花嵐の中声がする
潮騒の中声がする
木枯の中声がする
深雪の中声がする
君の声がする僕の前で
君の声に手を伸ばす
君の声がする僕の後で
君の声に脚踏み出す
風に紛れて声がする
空気揺らして声がする
声がする声がする
でもそこには何も無い
‹ふとした瞬間›
指を繋ぐ糸の色は
私にはとんと見えないが
小指絡げて満足に笑う
君が望むならそれでいい
明日に発ち行くその指に
確かな導となるのなら
‹どんなに離れていても›
4/29/2025, 8:27:48 AM