捨てられない、先の丸い鉛筆。湿気てしまって、色褪せていて、もう使い物になりそうにない。角張った身体には、掠れた必勝の文字が彫られている。 ありがとう、そう言いたい。あの時の、僕を支えてくれたもう一人の僕。それを思い出す度、捨てようと取った彼をまた押入れの奥へ戻す。
8/17/2023, 2:54:28 PM