不整脈

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あの子、まぶしいんだ。
まっすぐで、きれいで、光ってて。
笑うとき、ちょっとまぶしすぎるくらい。

だから、あんまり見ないようにしてる。

だって見たら、比べちゃうじゃん。
わたしの顔とか、声とか、足の速さとか、
わたしの全部がしょぼく見えちゃう。

ほんとはあの子のこと、
きらいじゃないんだよ。
むしろ、ちょっと憧れてる。
でも憧れてるなんて言ったら、
わたしの負けみたいだから言わない。

だって、まぶしいんだもん。

まぶしいってことは、
まぶしくないわたしがいるってことで、
それってなんか悔しくて、
ちょっと泣きたくなる。

でも泣いたら笑われそうだから、
まばたきしてごまかす。
まぶしいから、
目がしょぼしょぼしただけ、って。

あの子のこと、ほんとはすごく気になる。
でもたぶん、
あの子はわたしのこと気にしてない。
それもまぶしくて、つらい。

光ってる人ってずるい。
光ってるだけで勝ちみたいな顔してる。
でもほんとは違うんだよ、って言いたいけど、
光ってないわたしが言っても、
説得力ないじゃん。

だからやっぱり、見ないようにしてる。
まぶしいの、苦手だから。

7/31/2025, 1:37:17 PM