どこまで堕ちても離れない糸がある。
私は何度も糸を切ったはずなのに、気づいたらまた繋がって、新しい結び目を作る。
それは小さな結び目。
またすぐに解けそうで、儚い。
それは頑丈な結び目。
道具を使っても切れないくらい、芯がある。
堕ちた先で自分から糸を解いて、地上に返したはずなのに。
美しい、糸が、何本も。
地上からふわりと降りてきて、
私の身体にそっと触れる。
私が怯えると、
糸はそっと距離を置く。
むやみに触れない糸の優しさに
気づいたけれど、私は何もできない。
堕ちても離れない糸の美しさは、堕ちたものにしかわからない。その沢山の美しい糸を掴み、結び、地上に戻れた暁には。
私が離れない糸を…
6/10/2025, 12:35:12 PM