代理(特に何も無い学生)

Open App

僕達の大嫌いな思い出の場所で一緒に死のう。

音楽なんか大っ嫌いなんだ。

昔から父さんと母さんにはよく言われたさ。

「お前は音楽の才能に恵まれているんだ。音楽をしなきゃ勿体ない。」

好きでも無いピアノを続けさせられて、それも暴力を受けながら。

俺はずっと友達と外で遊びたかったのに。

だけど俺の好きな人は音楽が大の好きだった。

音楽室、放課後の音楽室はいつにも増して静かだった。

俺と好きな人は2人きり。

夕焼けが音楽室の物たちを窓から照らしていた。

好きな人はピアノを軽く弾いていた。

「……………………音楽、好きなんだっけ。」

「うん。好きだよ。」

俺は静かにピアノを弾いている好きな人の手を取った。

好きな人の手は小さくて、俺の手は震えてて。

「…………音楽が好きなの、憧れるよ。」

「ふふっ、ほら、震えてる。怖いんでしょ、音楽が。」

好きな人はそう言って俺の事を優しく抱き締めてくれたんだ。

「無理に聞かなくても良い、私のことを好きにならなくても良い。ただ、私と__________」



「あぁ、良いよ。ただ、アンタは後悔しないの?」

「…勿論、後悔しない覚悟で言ってる。だってこれが、愛の告白なんだから。」

11/10/2024, 12:40:24 PM