『big love!』
あの日のこと、いつまでも覚えてる。
彼はよく、「僕なんかが君に好きになってもらえたなんて奇跡みたいだなぁ。」なんて言う。普段は俯きがちなその顔で私を見つめて眩しいものを見るみたいに目を細めているの。そんなときの彼は、心底幸せそうで、本当にその奇跡とやらを信じているみたい。
…そんな奇跡、信じているのは貴方だけなのに。
引っ込み思案で、あんまり器用じゃない自分に自信が持てていないのは分かっているわ。この間私に作ってくれたお粥だって火加減を間違えて焦がしてたし。あたふたしながらキッチンで悪戦苦闘する貴方を、咳を押さえながら私が見守っていたの知らないでしょう?あの時はちょっと不安だったけど、でもとっても胸が暖かくなったの。…あからさまに肩を落としてしょんぼりとする貴方を見て、少し笑ってしまったのは許して?
そんな貴方だけど、あの日だけはいつもと違ったわね。
綺麗な夕陽の海辺に、夕陽に負けないくらい顔を真っ赤にした貴方。いつもは視線がうろうろしているのに、その日はただ私だけをじっと見つめてた。
そっと差し出してきたその手には小さな箱が乗っていて、貴方がゆっくり蓋を開けると、綺麗な指輪が入っていたわ。夕陽を受けてきらりと輝く指輪と、同じくらい強く眩しい光をその瞳に宿した貴方の顔。貴方から紡がれた言葉に、私は胸が満たされてただただ泣きながら何回も頷いたの。
あの瞬間の気持ちを私は生涯忘れないわ。
ねぇ、だから分かるでしょう?私が貴方を好きになったのは奇跡なんかじゃないのよ。
貴方に奇跡だなんてもう言わせないわ。これから先ずっと、この私の大っきな愛を分からせてやるんだから。
だからどうか、覚悟していて?
4/23/2025, 6:24:57 AM