中学旅行先は函館だった。
100万ドルの夜景は何とも思わなかったけど、まるでモナリザに価値がないと思うのは美的感覚の欠落かのようにクラスメイトは函館の夜景を眺めて笑っていた。私は一人でバスに戻る。運転手が煙草をふかしていてチラリと見てきたが気にしないことにした。エンジンは止まっていて空気は蒸し暑かったけど一息つく。自律神経の警戒が解けて、身体が硬直していたことに気づく。バスの窓を開けて淀んだ空気を追いだす。ふと見上げると一際輝く星が見えた。私と一緒で一人ぼっちなのに素直に綺麗だと思った。
きっと私は一人が好きなんだろう。
担任が具合が悪いのかと心配して見にきたが余計なお世話だと感じた。旅館先で夜明け前に一人で部屋を抜け出して空を見上げる。
一人で見上げた明けの明星は綺麗だった。
題『星を追いかけて』
7/21/2025, 7:40:23 PM