雪の降るこの街には、その白色の厚みとおなじくらいの後悔が積もっていた。薄暗い街だったことを覚えている。白い手袋で耐えていた。黒い靴下で歩いていた。赤いマフラーを巻いていた。
ペースを合わせて歩いてくれたわたしの風避けは、なくなった。
丁度一年前までは、となりを歩いていたその厚みも、今では土に埋まり、雪を固める音さえも、合わさることはなくなったのだ。それが寂しいことだと感じられるからこそ、わたしはそれを大切なひとだと認識していた、と証明できるのだろう。
憎まれ口を叩いて、無遠慮に心に入ってきて、それでも風上を歩き、耳も鼻も赤くして、わたしに心配と安心をおんなじくらいに与えてきた。冬は寒いものだと思えなかったのは、ひとえにこいつのせいだろう。
だって、寒さを感じたのは今年が初めてだ。
ことしのふゆもいっしょがよかった。
12/18/2024, 12:15:14 PM