好きになるつもりはなかった。
初めて会った時から苦手意識があって
無意識に避けていた。
どこに苦手を感じたのか。
一重の切長の目だったか、少し強めの言葉だったのか、感情が伝わらないとこだったのか。
その全てだったのか。
今となってはもう思い出せないほどに、その全てに愛おしさを感じてしまっている。
私にとって彼は上司と部下であるけど、それ以上を望んではいけない。
彼にはもう帰りを待つ家族がいるから。
これ以上は進めない道に歩み続けるわけにはいかない。
この先は崖になっている。
なのに、私は……崖の下を覗きたいと思ってしまう。
怪我をするだけなのに……
この先の道を私なら作れると思ってしまう。
私は既に失恋しているのに。
6/3/2023, 11:24:38 AM