【天国と地獄】
かれこれ数千年前の時代。空には鉛雲が世界を覆い、大地は怒りを顕にした。
地震が起き、大地は割れ、海は荒れ狂う。
それは、何百年。何千年と続いた。
やがて世界は落ち着きを取り戻し、月が太陽が2つ同時に現れるようになったそんな時代の話。
この世界が二つに引き裂かれた時代の話である。
安寧と自由を。
【愛】を絶対的なものとし、敬い、尊重し、尊ぶ天界の国。紫雲国(しうんこく)
秩序と規律を。
【法】を絶対的なものとし、公平さや、正義を遵守し、心情とし、日々を切磋琢磨する地上の国。国家・開闢(かいびゃく)
紫雲国と開闢に住む彼等は、言わずもがな話だが、これまで交流という交流がなかった。
それは、それぞれの国で食べ物が文化が、生活が成り立っていたからに他ない。
紫雲国の人達は言う。
「開闢の奴らは、始まりの民だからとふんぞり返っている。」
「愛を知らないなんてなんと可哀想な人達」
民達は総じて彼らをこう言う。
【開闢の奴らは、愛と自由を知らない可哀想な民だと】
逆に開闢の人達は言う。
「秩序も法律もない。狂った国だ。」
「自分達を、大した理由もなく見下してお高くとまっている。」
民達は総じて彼らをこういう。
【紫雲国の奴らは、愛などと曖昧なものを崇めたつる信者だと】
さぁ、君にとってどちらが天国で、どちらが地獄だと思う?
同じ世界に生きてるのに、違う価値観を持ち、別の所で生まれた民達。
彼らの言葉は本当か。嘘か。盲信か。戯言か。
それを知るのは神次第。
5/27/2023, 11:51:21 AM