小音葉

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色褪せた視界に青が横切る
手放した故郷を、あるいは揺るがぬ背を思い出す
迷路のような路地の裏、細道の先
忘れ去られた踊り場で
馬鹿みたいにくるくる回った
まるで不出来な玩具
埃を被って見向きもされない
子どものような夢を語った無秩序の群れ

あと一歩、届かなかった
壊れたビデオのように記憶が回る
繰り返し辿る、取り零した栄光の欠片

沸騰した血が溢れ出す
埋まらない隙間を埋めようと足掻く雑音
少し静かにしてくれないか
よく聞こえないんだ、波の音が、彼等の声が
今にも青が墜落してきそうだ
ああ、ずっと側にいてくれたのだな
ありったけの愛を込め、小さな手を振り払った

掴めない手を伸ばす
歩けない足で踏み出す
残すものはない
いざ
天使の待つ壇上に背を向け、地獄の門を潜ろうか

(bye bye...)

3/22/2025, 11:46:39 AM