るに

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真夜中の街。
風が強くて冷たい時期、
それでも私は歩く。
暗い小道を、裏路地を。
たった1つの
これだ!ってビビっとくる
温かさを求めて。
誰かにこっちの道は明るいよって
引っ張ってもらいたかった。
誰かの特別になって
私も特別だと思えて、
ぎゅっと抱きしめて欲しかった。
叶わぬ願いは
心の奥に仕舞うしかない。
小道や路地をぬけた先には
大通りが待っていた。
真夜中だというのに
灯りが絶えず輝いていた。
きらめく街並みは
星屑のよう。
星は沢山あるけど
月は1つしかない。
星屑の1つでしかない私を
月に見つけて欲しい。
もう、
誰の隣にいる資格が無いとしても。
満月が空高くにあって
とても小さかった。
手をどれほど伸ばしても
届かなかった。
ただ冷たい空気が手を冷やすだけ。
白いため息がふぅっと出る。
途方もない悲しさだけが
私を埋めてくれるみたいだ。
"Good Midnight!"
気分も乗らず
道端に座り込んで
大通りの灯りに置いていかれる。
私ってなんで生まれてきたんだろう。
そんな黒い闇に呑まれながら。

12/5/2025, 3:43:57 PM