No.24『クリぼっち』
散文 / 掌編小説
結局、ひとりで過ごしたクリスマス。所謂、クリぼっちと言われる過ごし方だ。20代の頃まではクリスマスイブは恋人と過ごし、本番のクリスマス当日は家族でちょっとしたパーティーを開催していた。
仕事が忙しくなり、恋人とも家族とも疎遠になってしまってもう随分と経つ。クリスマスイブの夜は当然のように残業をして、ただ、コンビニで小さなショートケーキを買って帰った。
SNSで動画や画像を見て、クリスマス気分を味わったのはほんの数分で。これが恋人よりも仕事を取った女の成れの果てかと思わずため息をつく。ただ、この女の部分は男でも同じことで、そう思って苦笑った。もしかして、お互いに仕事を理由に別れた恋人も、同じことを思っているかも知れない。
クリスマス当日、家に帰ると母親からクリスマスカードが届いていた。
「メリークリスマス」
ぽつりと呟いた瞬間、日付が変わって。私は今まで付き合った恋人全員を着信拒否している。ここに来て不意に、そのことを激しく悔やんだ。
お題:クリスマスの過ごし方
12/26/2022, 9:34:20 AM