名も無きあなたの味方

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「踊りませんか?」
あいつは雨の夜、公園のベンチに座って泣いていた俺にそう声をかけるのであった。



2日前……
俺は仕事で、あまりにも酷いミスをやらかして即刻クビを言い渡されたのだ。
そして死のうとしても失敗して、悔しさのあまり街をさまよっていた。

そしてどこだかも分からない公園のベンチに座り、泣いている男が1人…


それが、今の俺だ。



あいつは、俺に手を差し伸べながら「踊りませんか?」と聞いた。
あいつはたしか……《ルカ》と名乗った。
ルカの差し伸べた手をとると、心が軽くなったような気がした。

「私はあなたにとっての天使であり、あなたの敵にとっての死神です。さあ、共に踊りましょう。」
そう言い、手渡したものはひとつのナイフだった。
「俺は……人殺しだけは絶対にしないって決めたんだ……!お前は俺の敵だ!」
俺は、ルカにナイフを向けた。
その手は震え、殺すことをまるでためらうようにも見えるだろう。
ルカはせせら笑うような笑みを浮かべると「私は、あなたが殺したものに関する全ての証拠を消すことが出来ます、さあどうしますか?」

「俺は……」
「俺は全てに復讐したい。」




俺が選択した決断は間違ってはいなかった。
ルカは俺にとっての天使であり、俺の敵にとっての死神であることは間違いではなかったのだ。

10/4/2024, 5:13:31 PM