嗚呼、風よ
どうか届けてこの想い
あのひとのもとへ、ひっそりと
秘めたる気持ちは
「お前、このアプリ始めてから、ラブロマンスしか書いてないじゃねーか」
わたしの手元を覗き込んで、腐れ縁のあいつが笑う。
「人のスマホ画面、勝手に見ないでよ」
ぷっくり頬を膨らませても、あいつは飄々と肩をすくめてどこ吹く風。
「そっちこそ、いつもひねくれたお題の使い方ばかりして。たまには真面目に書けっての」
「オレのは芸術ですうー。お前の砂糖菓子みたいな話とは相容れないんだよー」
親同士が親友の、生まれた時からほぼ一緒の幼馴染。
ねえ、そろそろ気づいてよ。
わたしがラブロマンスばかり書いて、誰に届けたいのか。
この想いを。
お題:ひそかな想い/たつみ暁
2/20/2025, 10:48:30 AM